弾かれたように彼女の肩が揺れて

思わず小さく笑いが漏れた


だって、可笑しいもの

人を玩具と、道具としか見ていないはずの彼女が

そこまであの人を大切にしているなんて


こうやって言葉を交わすあたしでさえ、

この子にとっては玩具でしかないだろうに


あぁ、不思議ね

あたしよりずっと年下の彼女

ちょっと前まではあんなに大きく見えたのに

今ではこんなにも小さい


それはあたしの心のもちようか、

それともあの人が単に彼女の"兄"だからなのか

分からないけれど




「それで茉緒様、あの子のお話でしょう?」

「ええ、そうよ」

「角川の方々は分かりかねますけど、

煌雅の方は着々とお迎えの準備をしております」




彼女は顔を歪めた

そう、貴女はそうでなくちゃ困るの

あたしの妹のために"そう"でいて

あの子はあそこに戻ればまた感情を殺してしまう

そんなことには絶対させない