瞬矢の両親が来たとき、すれ違うようにこっそり部屋を出た

部屋のドアの反対側の壁にもたれ掛かるようにして居たら

素敵な宣言が聞こえてきた





「生きて二人に親孝行するために、」



ねぇ、糸依ちゃん



「糸依の分まで生きて、」



私の言葉は、



「糸依の分以上に親孝行するために、」



正解だった...?



「普通に大切な仲間と笑い合えるように、」



ーーー正解だよ、だってお兄ちゃんが



「遊べるように、」



ーーー昔みたいに笑ってるから




一瞬、糸依ちゃんの姿が見えた気がした

風で消えてしまったけど

あの糸依ちゃんはきっとそう言ってたね




ーーーありがとう、みぃ




花みたいに笑って、名前の通りに家族を自分という糸で繋いだ素敵な女の子

お礼を言うのはこっちだよ、糸依ちゃん


さっきまで糸依ちゃんがいた気がしたところに微笑んで私はその場を後にした