普通、ね..



「そっか」




返す言葉を探したけれど出てきたのはその一言だけだった

お母さんから離れて奏翔の傍に行くと、奏翔が私を隣のシートに座らせた




「奏翔は、知っていたの?」

「...まあな。これだけ一緒にいると、何回か倒れてるのを見たことがある」




視線を私から外して窓の外に投げる

その声は哀しそうだった



奏翔に寄り添って、奏翔の肩に頭を乗せる

奏翔は私の頭を優しく撫でてくれた




...あ、泣きそう





思った時には遅くて、ぽろっ、と涙が溢れてくる

奏翔を見上げれば困ったように少し笑う




「あいつの前では泣いてやるなよ。

泣きたいんだったら、今のうちに泣いとけ。」




そうだね、辛いのは瞬矢なんだ

私たちも支えられなくて、辛く思うけど

一番、誰よりも辛くて哀しくて苦しいのは瞬矢

だから、瞬矢の前では笑ってなくちゃね

その為にも、今たくさん泣かせてね。奏翔




「...っく、うぅー..」