「……何してくれてんだよ。

この制服はな、お前ら庶民のと違って特別に高級素材で作ってもらったんだよ!

クリーニング代、支払ってくれんだよな?」


杏奈ちゃんの怒りを露にした荒々しい口調に、桜が震え出した。


その時……



「やめときな、杏奈」


杏奈ちゃんを制する声は───汐李ちゃんのものだった。



その光景を見ていた全員が、

〝この場を収めてくれるかもしれない〟
〝本当は悪い人じゃなかったのかもしれない〟

そう汐李ちゃんに、僅かな希望を抱いた。



「なんでだよ。 そのくらい当然だろ?」




けれど、彼女はその希望を踏みにじり、期待を裏切った。






「───それだけじゃ、あっさりし過ぎてつまんないじゃん」