東京恋愛専科～または恋は言ってみりゃボディブロー～

易者は観察するように私の手のひらを見つめると、
「あなたには、気になっている男の人がいるみたいですね」
と、言った。

「えっ…ああ、はい…」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「その男の人から思わせぶりなことを言われて、それが彼の本心からきているものなのかどうかと悩んでいる。

自分は彼とつきあうべきなのかどうかと考えている…と見ました」

…す、すごい、当たってるんですけど。

まさか、どこかで見てた…な訳ないよね。

「彼はとても身分の高い人で、私のような身分が下の人とつきあっていいものかと悩んでいるんです。

思わせぶりなその態度も、もしかしたら私の勘違いだったと言う可能性もありますし…」

気がつけば、私は易者に打ち明けていた。

「うむ…」

易者はまた虫眼鏡を使って、私の手のひらを覗き込んできた。