「えっと…私も楽しかったです。

社長によろしくとお伝えください」

私はペコリと頭を下げた。

「よろしかったら、駅までお送りしましょうか?

もう夜も遅いですし、女の1人歩きは危険だと言いますから」

そう言った副社長に、
「えっ…そ、そこまで悪いですよ。

お会計だって払わせてしまったうえに、そんなこと…」

私は首を横に振って断ろうとした。

けれど、
「俺がやりたいので」

副社長がさえぎるように言ったので、結局駅まで同行することになってしまった。

駅に到着すると、
「では、お気をつけてお帰りください。

おやすみなさい」

副社長がそう言って、ペコリと頭を下げた。

「…お、おやすみなさい」

何から何まで、返って申し訳ないことをしちゃったかも…。

そう思いながら、私も副社長に頭を下げた。

改札口へと向かう私に手を振って見送る副社長に、私もその手を振り返しながら改札を通った。