東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「あの、まずはその“副社長”って言う呼び方をやめませんか?

ここは会社じゃないですし、あまり呼ばれなれていないので…」

副社長は少しだけ言いにくそうに言った。

「えっ…でも、副社長は副社長じゃないですか?」

私は訳がわからなくて聞き返した。

副社長なのに“副社長”と呼ぶのをやめて欲しいって、変なの。

「じゃあ、“樫尾さん”でいいですか?」

そう聞いたら、
「それだと他人な感じが…」

副社長は不満なようだ。

他人な感じって、私たちは他人なんですけど…。

「じゃあ、こうしましょう」

副社長が言ったので、
「えっ?」

私は聞き返した。

一体、どうするって言うんですか?

「俺は桜井さんのことを“つづりさん”と呼びます」

副社長が言った。