東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

会社近くの立ち飲み居酒屋に足を踏み入れると、まばらだが人がすでにいた。

その中に副社長こと樫尾光明(カシオコウメイ)の姿はあるかと思って探して見たが、彼はまだきていなかった。

よかった、これできていたらどうしようかと思ってた…。

悲しいけど、これが派遣社員と副社長の違いと言うヤツなのね…。

とりあえず先に飲んで、適当に食べ物を注文しようと思った私は隅の方に場所を取ると店員から渡されたメニュー表に視線を落とした。

ある程度メニューの確認をすると、手をあげて店員を呼んだ。

「生ビールの中ジョッキと軟骨の唐揚げ、塩キャベツにアスパラベーコン串の以上で」

「はい、喜んでー」

注文を承った店員がその場から立ち去った。

カバンからスマートフォンを取り出して時間の確認をしようとしたら、
「――桜井つづりさん、ですか?」

後ろからテナーの声が聞こえたので、私はそちらの方に視線を向けた。