東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

そう思っていたら小会議室のドアが開いて、社長が入ってきた。

「あっ、社長」

「お父さん」

私たちが同時に呼んだら、
「いやー、よかったよかった」

社長は笑顔で私たちに声をかけた。

私が副社長に手を離すことを求めると、彼はわかったと言うように手を離してくれた。

離された手に名残惜しさを感じたけれど、今はそのことに浸っている場合ではない。

私は社長に歩み寄ると、
「社長、ありがとうございました」
と、頭を下げた。

「ふくしゃ…光明さんと会わせてくれたうえに、私たちの交際を梅里専務に認めるようにとお願いしてくれて…」

「もう、“社長”なんて堅苦しいよ」

お礼を述べようとする私をさえぎるように、社長が言った。

「えっ?」

私は訳がわからなかった。