“美人”だとか“かわいい”だとかと褒められたこともないし、かと言って“ブサイク”だと言われていじめられたこともない。

「私は平凡中の平凡よ。

平凡オリンピックってものがあったら、間違いなく日本代表で出場できる自信があるわ」

そう言った私に、
「どこにそんなオリンピックがあるのよ…」

ナオは呆れたと言うように言った。

愛らしい容姿からは想像できないハスキーボイスもなかなかの高得点だと思う。

ナオったら、本当に得してるよ。

「まあでも、アタシはつづりの容姿を悪くはないと思うわよ。

アタシと違って、いかにも日本人らしい顔をしているし」

そう言ったナオに、
「…ありがと」

私はお礼だけ言うと、アイスティーをストローですすった。

「1回だけ副社長さんに会って、もし何かあった発展することがあったら報告よろしくねー」

ニコニコと笑いながら期待をしているナオに、
「そんな訳がないから、あくまでも1回だけなんだし」

私は呆れながら言い返した。