東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「…俺の代わりに、つづりさんに噂のことを否定してくれませんか?」

こんなことを社長に、父に、頼みたくない。

本当だったら、これは俺がするべき役目である。

なのに…立場上、仕事を投げ出すことができない自分が悔しい。

父はフッと口元をゆるめて微笑むと、
「もちろん、噂は間違いだと言ってちゃんと否定をする。

だから、光明は安心して仕事に行ってきなさい」

励ますように、俺に言った。

お父さん…。

「はい、ありがとうございます」

頼もしい父を持ったことを嬉しく思いながら、俺は父にお礼を言った。

父はソファーから腰をあげると、自分のデスクへと足を向かわせた。

カタカタとキーボードとマウスを動かすと、
「よし、つづりちゃんのパソコンにメールを送ったぞ。

昼休みに社長室につづりちゃんがくることになってるから」

そう言った父に俺はもう1度お礼を言った。

 * * *