東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「おそらく、桜井さんの耳にも間違いなく入ると思います」

「それはいくら何でも困ります!」

そう言った木田さんに、俺はソファーから立ちあがった。

「今すぐつづりさんを呼んで説明をして…」

「光明、落ち着け」

社長室から飛び出そうとした俺を止めたのは、父だった。

「副社長、あなたはこれから取引先の会社に向かわなきゃいけませんよね?」

「…そうでしたね」

今日やるべき仕事を思い出した俺は、再びソファーに腰を下ろした。

つづりさんに噂のことを否定したい。

だけども上に立っている人間である以上、仕事を投げ出すと言う訳にはいかない。

そんなことをしたら、この会社で働いている多くの社員たちに示しがつかない。

「社長」

俺は目の前で座っている父を呼んだ。