東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

翌日、俺は出社するとすぐにパソコンを起動させた。

彼女のプライベート用の連絡先を知らなかったため、社内メールを通じて連絡を取ることにした。

さて、内容はどうするべきか…。

件名に『樫尾です』と書き込むと、彼女へのメールを考えた。

さすがに会社内で彼女に会って話をしてチケットを渡すのは難しそうだ。

人の目のこともあるし、何より悪い噂を立てられると大変だ。

「おや、お困りみたいですね」

後ろから聞こえた声に振り返ると、
「うわっ!?」

驚きのあまり、椅子から転げ落ちそうになった。

「失礼ですね、幽霊でも見た訳じゃあるまいに」

父の秘書である木田さんは、呆れたと言うように息を吐いた。

「ちゃんとノックをしましたよ。

でもノックをしたのに、返事をしないあなたが悪いのですよ。

中で死んでいるのかと思って、勝手にお邪魔させていただきました」

木田さんはそう言うと、見積書を渡してきた。