東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

同時に、私は誰かの腕の中にいた。

その腕の主を見あげると、
「――ふ、副社長…?」

副社長だった。

えっ、何で…と思ったけれど、彼もここにきていたと言うことを思い出した。

そうだ、電話がきたとかで席を外していたんだった…。

「全く、あなたはどれだけつづりさんに迷惑をかけるつもりなんですか!」

口調はいつもの副社長らしく丁寧だけど、怒っていることは確かだった。

普段の温厚な様子から怒っている姿は想像できないけど、怒るとこんな感じになるんですね…。

「ああ、そうだった…。

苗じゃなくて、桜井さんだった…」

村坂さんは思い出したように呟くと、再びテーブルのうえに突っ伏した。

数秒も経たないうちに、スースーと彼から寝息が聞こえた。

どうやら、寝てしまったようだ。