東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

正直なことを言いますと、笑えないです…。

本当に世間って狭いですね、悪いことはできないです…。

心の中で呟いていたら、
「早速なんですけど、桜井さんにお礼をしたいんです」

社長が言った。

「お、お礼ですか?

そ、そんな滅相もないです…。

そもそもお礼目当てでやったことではありませんし…」

第一、相手が社長だってことを知らなかった。

社長もマナカを使って電車に乗るんですね。

首と右手を横に振った私に、
「でもお礼をしないと僕の気も済まないんですよ。

どうか、ここは年寄りのわがままを1つだけ聞くと思って…」

社長は両手を自分の顔の前に出して、お願いのポーズをした。

「と、年寄りって…」

1番上に立つ者がそんなことを言ってもいいんですか…?

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

断っても引き下がらないことは目に見えているので、私は呟くように言った。