東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「あーあ、なーえー…。

僕の愛しいなーえー…」

村坂さんは泣きそうな声を出すと、テーブルのうえに突っ伏した。

「ちょっ、ちょっと、村坂さん!

こんなところで寝たら風邪をひきますよ!」

村坂さんの肩に手を置いて起きるように揺するものの、彼女の名前を泣きながら叫んでいる彼には全く通じない。

ダメだ、どうしよう…。

「お待たせしました」

バーテンダーが村坂さんの前にグラスを置いたけど、それにも気づいていない。

「困りましたね…」

バーテンダーは私に視線を向けると、苦笑いをした。

「そうですね…」

それに対して私は苦笑いを返すことしかできなかった。

本当に、どうしよう…。

そう思っていたら、ガバッと村坂さんの顔があがった。

あっ、やっと起きたよ。