東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「木田、もう下がっていいぞ」

社長が私の隣にいる木田さんに声をかけた。

「はい、失礼しました」

木田さんはペコリと頭を下げると、社長室から去って行った。

社長室にいるのは、私と社長の2人だけになった。

「あ、あの…」

「ああ、どこか適当なところに座ってよ」

社長に促されて、
「では、失礼します…」

私は高そうな革張りのソファーに腰を下ろした。

思った以上にソファーはフカフカで、腰を下ろしたとたんに躰が沈みそうになった。

社長が私の向かい側のソファーに腰を下ろした。

「いやー、まさかここの社員だったなんて驚いたよ」

ワハハと笑いながら言った社長に、
「私も驚きました…」

私は呟くように言った。

「世間って狭いもんだね」

社長は笑っているけれど、私はどうすればいいのかわからなかった。