東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「わかった、先に会議室で待っていてくれ」

そう指示を出した社長に、
「はい、失礼します」

木田さんはペコリと頭を下げると、社長室を後にした。

彼の姿がいなくなると、
「その…さっきは、疑っちゃったりしてごめんね?」

社長が謝ってきた。

「えっ、はあ…」

突然謝ってきた社長に私はどうすればいいのかわからなかった。

「もちろん、つづりちゃんのことは信じていたのよ。

つづりちゃんが『小野製作所』に雇われた産業スパイじゃないってことは理解してた。

だって、優しいつづりちゃんに産業スパイができる訳ないじゃない。

でも重役たちの圧力がもうすごくてすごくて…」

社長は頭が痛いと言うように人差し指でこめかみを押さえた。

「そんな、とんでもないですよ…」

優しいなんて言ってくれる社長が申し訳なくて、私は手と首を横に振った。