東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~

「落語を見に行って、その後に蕎麦屋に入ってそばを食べて、そのまま帰りました」

そう言った私に、
「何もなかったんですか?」

副社長が聞いてきた。

「はい」

私が首を縦に振ってうなずいたら、
「それはつまり、村坂とはお友達として会っていた…と言うことでいいのかな?」

雑誌から顔をあげて社長が聞いてきた。

「友達と言うか…そうなるんじゃないかと思います、はい」

社長の質問に、私は首を縦に振ってうなずいて答えた。

「つまり、話をまとめますと…」

木田さんがスーツの胸ポケットから手帳とボールペンを取り出した。

「桜井さんは『小野製作所』の村坂と今週から知りあいになって、彼と一緒に落語を見て蕎麦屋で食事をした…と言う訳ですね。

村坂が『小野製作所』の社員であることは知らなかった、あくまでも友人として彼に会っていたと言うことですね」

木田さんがボールペンで手帳に書き込みながらそう言ったので、
「はい、そうです」

私は首を縦に振ってうなずいた。