「さぁ、気持ち切り替えて乾杯しよーぜー!」
「切り替え必要なのお前だけだろ」
ミッキーに突っ込まれて、ゆっくんが反論して、千珠ちゃんも笑う。
この二人はこの二人のペースで未来を作っていく。
過保護なお兄ちゃんが傍にいて大変かもしれないけど。
「あー!!楽しかったーー!次は来月?」
「ムリでしょ」
お酒に飲まれてるゆっくんが千珠ちゃんを抱き締めながらお店を出てくるのを最後にお開きになった。
「ちずー!今日うちで泊まらない?学校もうちからの方が近いよ?」
「俺がいてさせるわけないだろ」
ミッキーに怒られてショボーンとしてるゆっくんはいつも面白い。
「宏奈も大変だな」
「悠穂くんとこの唯ちゃんよりマシだよ」
「宏ちゃんひどいー!」
まさかの宏ちゃんからニッコリフェイスで言われて、ちょっと刺さった。
いずみんが笑ってくれてたからよかったけど。
「宏奈、俺はもう唯の世話係から離れたから」
「世話係って言わないで!」
宏ちゃんが笑ってミッキーがフォローしてくれて、その間にゆっくんは千珠ちゃんを連れ去ってた。
「さ、泉かえろ」
「はーい」
全然まとまってないけど、みんなそれぞれ帰っていく。
手を繋いだり、腕を組んだり、一組は例外だけど、この空間からそれぞれの時間が動き出す。
その人自身の、その人たちの未来への時間が。
みんなの後ろ姿を眺めて、そして實を探す。
この時間の間、横並びだったからあまり見てなかったし気にもしてなかったから初めて探す。
「こっちですけど」
後ろを振り向くと酒瓶入れのコンテナの上に座って携帯をいじってた。
「声掛けてよ」
「掛けたろ」
「今でしょ?」
「帰る準備はできました?」
みんなの後ろ姿を見てたことを言ってるのかわからないけど、たぶんそういうことだろう。
「うん、帰ろう」
立ち上がった實に抱き着いてぎゅーっとする。
誰の隣にいてもこうして傍にいてくっついていたいのは實だけ。
「そういや悠穂にハグしてなかったな」
「唯はもう實のものなので」
そう言って見上げると嬉しそうな?意地悪そうな顔をして「お利口さんになったねぇ」と頭を撫でた。
「みんなして、あたしを馬鹿にする...」
「俺もお前のお世話係とか嫌なんだけど」
「聞いてたならつっ込んでよ!!」
「やだよ、めんどくさい」
「めんどくさいってなんなのよー」
冗談を言いながら、あたし達もみんなと同じようにこの空間から出て、あたし達の時間を生きていく。
抱きしめて、肩を抱かれて、キスして、手を繋いで帰る。
あたし達もこうして二人の時間を紡いでく。
「幸せだね」
「ね」
「え、實が同意した!」
「おい」
「やだぁ〜変だよ〜」
「お前、失礼だろ」
「いや、いい事なんだよ。實も幸せだってよくわかる!」
「お前は万年幸せボケっぽいもんな」
「人を阿呆みたいに言わないで!今が一番幸せなんですぅ〜」
「あっそ」
どんな形でもいい。
あたし達にしかわからなくてもいい。
二人でいるこの幸せが永遠に続きますように。
END.



