片手で食器をまとめて、實の反応を待ってると實の空いてる方の手が下におりてゴソゴソとしてる。
次に見えた時は手の中に何か入っていて、それが目の前で止まった。
「なに?」
何も言わない實は動くことなく、あたしが受けるように片手を添えると手を離した。
コロンと落ちてきたのは小さな箱。
あたしの好きなアクセサリーショップの箱。
掴まれてた手が離れて、その箱を開ける。
「うそぉ...」
シルバーの石の付いたリング。
キラキラ輝いて、とても綺麗。
また泣いちゃう...とグッと我慢しながら實を見ると、立ててた腕に顔を乗っけるようにあたしを見てて、その顔がまた優しくて涙がこぼれた。
「泣きすぎな」
「ごめんなさい...」
服で拭うのをやめさせて、タオルを貸してくれる。
確かにもう止まる気がしないからこれがいいのかもしれない。
指輪を置いて、席を立って、實の傍に行く。
席で座ったままの實は体だけあたしの方に向けた。
手を伸ばして抱きつくあたしの受け止めてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「これ、あたしの好きな形のやつぅぅぅ〜」
「うん」
「ポンちゃんしか知らないはずなのにぃぃ〜」
「うん」
「流されたと思ってたよ...」
「流したのお前だろ」
「だって實がややこしいから...」
「・・・」
「實、タオル取って」
こんな時でも雰囲気読めずにタオル取ってもらっちゃう。
むちゃくちゃな顔を見せる訳にはいかないからタオルを受け取って、とりあえず涙を拭く。
顔も洗いに行きたいけど、もうそういうのはいい。
体を離して實と向かいあうといつの間に用意していたのか、片手にはリングがあって、すでにあたしの左手待ちだった。
「まだ返事してないよ」
「さっきので充分」
泣きわめいたことなんだろうか、それでいいなんて實も変わってる。
左手を出すとゆっくりと指輪をはめてくれる。
すごく綺麗で、指輪が通った薬指の先端から幸せが全身に広がる感覚。
實の気持ちの全部がここに詰まっている気がして安心する。
「これで傍にいられる準備が始められるだろ」
またそんなこと言うから涙が出た。
あたしの嬉しいスイッチを全部わかってる。
本当にずるくて優しくて大好きな人。



