實は出会った時からポンちゃんの存在を鬱陶しがってはいたけど、今まで出会ってきた誰よりも理解してくれていた。
幼馴染みを超えた絆を見てくれていた。
それをすごいと言ったり羨ましがったりはしなかったけど、それもやっぱり鬱陶しがっていた。
ポンちゃんの就活が忙しくなって会えなくなると学部が同じだったこともあって1日の半分は實と一緒に過ごす日が増えるとそういう言葉や態度もなくなって、あたし自身もポンちゃんより實に連絡することが増えた。
時間が合えば1日中飽きずに一緒にいた日もあった。
それがずっと今日まで続いて今のあたし達がいる。
大学を卒業して別の仕事に就いても変わらない関係。
ポンちゃんとは違うあたし達だけの関係を築けてると思ってた。
でもやっぱり気にしてた。
口ではなんでもないように言っても、實の中のどこかにはやっぱりポンちゃんがいて、あたしの傍にはポンちゃんの影が見えてるんだろう。
口に出さなくても何かにつけてポンちゃんと比べちゃう無意識なところを敏感に感じ取っていたんだと思う。
理屈でわかっていても感情で制御できないことはたくさんある。
その理解を当然のように思っていたあたしは長く實の心を不安に、もしかしたら傷つけてもいたのかもしれない。
少しの沈黙のあと、ドライヤーを無言で渡すと實も何も言わずに髪を乾かし始めてくれる。
暖かくて気持ち良い。
目をつむってされるがままで、眠くて頭が傾いちゃうたびに實が戻して最後には「小学生かよ」と笑ってた。
「今日もおだんご?」
「そう」
「好きだから?」
「好きだから」
なんだか可愛いな!と、にやけてしまう。
「出来たぞ」のあとすぐに實と向かい合うと後ろからは見えないこめかみや耳元の後れ毛を少し整えて満足そうな顔をした。
「ドヤ顔」
「うるせぇ」
出逢った頃に見た笑顔を最近は全然見せてくれないけど、こうして素直な気持ちを出してくれるのは笑顔を見せてくれるより嬉しい。
歯を見せて笑うよりも零すように笑ってくれる實の方が本物で、あの笑顔はあたしが和みやすいように見せてくれてただけなのかもしれない。
ちゃんと聞いたわけじゃないけど、そんな気がする。
手を伸ばして、實の頬に触れてると手首を掴まれてそのまま引っ張られ膝の上に乗せられた。
横座りで向かい合う。
「重いのに」
「鍛えてるんで」
ドヤ顔の實はスルーして、きゅっと抱きしめる。
實の匂いに安堵の溜息が出て、身体を預ける。
「ずっとこのままがいい」
「は?」
「このままがいい」
「無理でしょ」
「急に現実的〜」
抱きしめる腕に力を込める。
「急になに」
「甘えていいって言ったじゃん」
「それ今なの?」
「そう」
というのは表向きで、實に抱きついてたら一昨日の夜のことを思い出した。
曖昧になって、それから何か聞くことも言われることもなく今に至るけど、ずっと心の中で常に小さく反芻し続けてる言葉。
もう1度言ってくれるだろうか。
「先に飯食べない?」
「お腹空いたもんね」
察して女子はダメ女子だとわかってる。
...離れよう、とゆっくりと手を離して身体を離して、膝の上から降りる。
そして、テーブルに座った。
「お利口さんだな」
「犬みたいに言わないで」
人の気も知らないで、と言いたいけど我慢して、實の手作り晩ご飯をいただく。
「いただきます」
「どうぞ」
温かいお味噌汁もあたしが好きなワカメと玉ねぎが入ってる。
あたしの好きな具をちゃんと入れてくれて嬉しい。
おかずを取り分けてくれて、なんだか今日は至れり尽くせりみたい。
幼馴染みを超えた絆を見てくれていた。
それをすごいと言ったり羨ましがったりはしなかったけど、それもやっぱり鬱陶しがっていた。
ポンちゃんの就活が忙しくなって会えなくなると学部が同じだったこともあって1日の半分は實と一緒に過ごす日が増えるとそういう言葉や態度もなくなって、あたし自身もポンちゃんより實に連絡することが増えた。
時間が合えば1日中飽きずに一緒にいた日もあった。
それがずっと今日まで続いて今のあたし達がいる。
大学を卒業して別の仕事に就いても変わらない関係。
ポンちゃんとは違うあたし達だけの関係を築けてると思ってた。
でもやっぱり気にしてた。
口ではなんでもないように言っても、實の中のどこかにはやっぱりポンちゃんがいて、あたしの傍にはポンちゃんの影が見えてるんだろう。
口に出さなくても何かにつけてポンちゃんと比べちゃう無意識なところを敏感に感じ取っていたんだと思う。
理屈でわかっていても感情で制御できないことはたくさんある。
その理解を当然のように思っていたあたしは長く實の心を不安に、もしかしたら傷つけてもいたのかもしれない。
少しの沈黙のあと、ドライヤーを無言で渡すと實も何も言わずに髪を乾かし始めてくれる。
暖かくて気持ち良い。
目をつむってされるがままで、眠くて頭が傾いちゃうたびに實が戻して最後には「小学生かよ」と笑ってた。
「今日もおだんご?」
「そう」
「好きだから?」
「好きだから」
なんだか可愛いな!と、にやけてしまう。
「出来たぞ」のあとすぐに實と向かい合うと後ろからは見えないこめかみや耳元の後れ毛を少し整えて満足そうな顔をした。
「ドヤ顔」
「うるせぇ」
出逢った頃に見た笑顔を最近は全然見せてくれないけど、こうして素直な気持ちを出してくれるのは笑顔を見せてくれるより嬉しい。
歯を見せて笑うよりも零すように笑ってくれる實の方が本物で、あの笑顔はあたしが和みやすいように見せてくれてただけなのかもしれない。
ちゃんと聞いたわけじゃないけど、そんな気がする。
手を伸ばして、實の頬に触れてると手首を掴まれてそのまま引っ張られ膝の上に乗せられた。
横座りで向かい合う。
「重いのに」
「鍛えてるんで」
ドヤ顔の實はスルーして、きゅっと抱きしめる。
實の匂いに安堵の溜息が出て、身体を預ける。
「ずっとこのままがいい」
「は?」
「このままがいい」
「無理でしょ」
「急に現実的〜」
抱きしめる腕に力を込める。
「急になに」
「甘えていいって言ったじゃん」
「それ今なの?」
「そう」
というのは表向きで、實に抱きついてたら一昨日の夜のことを思い出した。
曖昧になって、それから何か聞くことも言われることもなく今に至るけど、ずっと心の中で常に小さく反芻し続けてる言葉。
もう1度言ってくれるだろうか。
「先に飯食べない?」
「お腹空いたもんね」
察して女子はダメ女子だとわかってる。
...離れよう、とゆっくりと手を離して身体を離して、膝の上から降りる。
そして、テーブルに座った。
「お利口さんだな」
「犬みたいに言わないで」
人の気も知らないで、と言いたいけど我慢して、實の手作り晩ご飯をいただく。
「いただきます」
「どうぞ」
温かいお味噌汁もあたしが好きなワカメと玉ねぎが入ってる。
あたしの好きな具をちゃんと入れてくれて嬉しい。
おかずを取り分けてくれて、なんだか今日は至れり尽くせりみたい。



