横顔を見たって目を合わせてくれることもなく、ラウンジに到着。
ホテルラウンジだから店内の雰囲気は落ち着いたジャズの流れて、窓からは夜の絶景。
最高かよ〜!と言いたいところをぐっと抑えて、窓際のソファ席に案内してもらう。
「すっごい綺麗だね〜」
「テンションぶち上げたいの我慢してんな」
「バレた?」
本当はあっちこっちの角度から夜景を観てまわりたいくらいだけど、さすがに出来ないから胸の前で手を組んで力いっぱい心の中で発散してた。
席は窓際に向かったソファ席の二人掛け。
右に實が座って、いつも歩く位置で落ち着く。
ドリンクはチャンポンすると酔っちゃうから引き続きワインを頼んで、實は安定のハイボール。
グラスをあわせて乾杯すると紙袋を開け始める。
「ここで開けるの?」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど」
部屋で開けるのかと思っていたから少し驚いた。
袋から出すときも箱を開けるときも無表情。
本当に意地悪なことを考えてる時と何かを行動に移す時以外は感情が見えない。
小さな箱を取り出し、お店の名前を見るけど知らないのか1度目を合わせてから箱を開いた。
「...ピアス?」
「いかにも」
「いかにもって色気ねぇな」と笑いながら取り出して眺める。
「實は黒よりネイビーだよ」
「そうか?」
「シルバーも似合うけどね」
「誰でも似合うだろ」
「このゴールドも悪くないけどね」
昨日勝手に付けたゴールドのフープピアス。
似合ってるけど、さすがにこれはずっと付けさせられない。
小さいけど太いし、よく目立つ。
「ねぇ、付けていい?」
返事を待たずに箱と手に持ってたピアスを取り上げて、すでに付いてるピアスを外そうとすると何も言わずに止められた。
「なに?」
「これ外してどうすんの」
どうすんのって!と思いながら、「あたしがまた付けるよ」と両耳を指す。
元々あたしのピアスだし、両耳でその大きさでもいいお値段した。
当たり前でしょう?という顔をしたら「じゃあ外さない」と返ってきた。
「なんで?片耳になるじゃん」
「今もそうだろ」
「でも普段は両耳付けてるもん」
「俺は普段付けてない」
「そりゃ實はそうだけど」
「片耳でいいじゃん。ムダに5個も開いてんだから他のでカバー出来るだろ」
「そういうことじゃないよ。てか、實だってちゃっかり3個開いてるじゃん!」
「それわかってて、ペアの買ってくれたんだろ?」
「・・・ん?!」
「ん?」
「いや、昨日はなんていうか...勢い?で、半ば強制的に変えちゃったから、えっと...」
元カノが付けたピアスにいきなり嫉妬して、實も乗ってくれたとはいえ勝手に付け替えちゃっただけで、お揃いっていうのも本当勢いで言っちゃっただけ。
思い出すと恥ずかしい。



