朝、目覚めるとあたしは實の腕枕から離れていたけど向かい合って眠っていた。
その後いつの間にか付けていたらしい目覚ましが鳴り、眠そうに目覚めると薄っすらと開けた。
あたしを数秒眺めてから抱き寄せてまた寝息をたてた。
ギリギリまで横で實の寝顔を眺める。
今までこうしてまじまじと眺めることなかったけど、皆が“實はカッコイイよ”って言ってたのがわかる。
どうしても性格や言葉遣いが先に出てきちゃうから“どうせ顔でしょ”とか思ってた。
でもこうして眠っている顔を眺めていたら確かに皆の言ってることはわかる。
ずっとゴロゴロしていたいけど、時間を確認してするりと腕の中から抜け出し支度を始める。
實はもう少し寝かせてあげようと自分の準備がある程度終えてから起こした。
「實、起きて」
「・・・」
「みーのーるー。起きないと朝ご飯に間に合わないよ」
「…うん」
「うん、じゃないよ。起きて、目開けて」
「んー…」
横向きで寝ていたのにうつ伏せに寝返ってさらに起こしにくくなった。
なんでこんなに寝起きが悪いの?と思いながら体を揺らそうと近付くとホラー映画のようにいきなり目をパッチリ開けて思わず足を止めてしまった。
「…いきなり目を開けないでよ」
「…おはよ」
「おはよ。もう起きないと朝食食べ損ねるよ」
「別に外で食ってもいいだろ」
「別にいいけど…」
「今、何時?」
「8時半」
「…7時半に目覚まし鳴った?」
「鳴ったよ」
「・・・」
「どうしたの」
聞いといて黙った。
昨日もあったけど、きっと何か考えてるんだろう。
まぁいいけど、とベッドに背を向けると大きな欠伸が聞こえる。
ちゃんと寝たのか心配になったけど、まぁいいかと片付けをしてた。
「今日、何時からだっけ」
「14時」
とうとうポンちゃんが結婚式を挙げちゃう。
想像しなくても絶対いい結婚式になるに決まってる。楽しみだなーとウキウキしてると背後から「なにニヤニヤしてんの」と突っ込まれた。
「だってー、今日はポンちゃんの結婚式だよ?!ウキウキしすぎるでしょ!!」
「あっそ」
「冷たいなー」
「つか、下のサ店行こ」
「ホテルのモーニングは?」
「もう閉まんじゃん」
だらだらと起き上がり、そのまま洗面所で顔を洗って出てきて部屋着のまま出ようとするから必死で止めた。
ブツブツ文句を言ってたけど、無理やり着替えさせた。
「別にホテル内なんだからいいだろ」
「スウエットで行くなんてありえないから!履き替えるだけなのに文句言わないで」
「別に外出るわけじゃないだろ」
「それが嫌だって…あ!」
部屋を出たらこっちに向かって来ているポンちゃんといずみんに出くわした。
「ポンちゃん!」
「…夫婦みたいな会話だな」
「いずみん、ポンちゃん、おはよう!どこ行くの?」
「お前、俺のこと無視か」
後ろから何か言ってるけど無視していずみんの隣に並んだ。
「二人で寝過ごしちゃって下の喫茶店に朝ご飯食べに行こうと思ってたんだけど、どうせ實くんも起きてないんじゃないかって悠穂が言うからダメ元で呼びに来てみたら出てきてくれたの」
「そうなんだ!すごい偶然だねー」
「どうせ朝までヤってたんだろ」
「實、もっと下がって歩いて」
「はぁ?」
朝からデリカシーの欠片もない人と隣で歩きたくないよね、といずみんに言って腕を掴んで先を歩いた。
朝食はいずみんに頼み込んで二人掛けテーブルで今日までの話を聞きまくった。
マリッジブルーは全然ないらしく、今から緊張でドキドキするって言うからいっぱい話して気分を紛らわしてもらおうと頑張った。



