こうしてミノルが笑うことが最近増えた。
最初は意地悪されて怒るあたしを見てバカにしたような笑いだったけど、今は少しの言葉でも笑ってくれるというか微笑んでくれる。
それがまた優しくて調子狂うし、不意打ちだとミノル相手にドキドキしてしまう。

そんな些細なことだけど、こういうことがミノルの言う“好き”に繋がるんだろうかとふと思う。

今までになかった最近出来上がったあたし達の空気。
ミノルにいじられながらも黙って手を繋いだままのあたし達。

恋人でもない友達でもない微妙な関係。
ポンちゃんでは感じない不思議な感情。

こういうことならあたしもそう思える。

「あたしも“今”が“好き”かもしれない」
「じゃあ俺ら両思いだなー」
「意味が違うよ」
「相思相愛?」
「相思はあっても相愛はないなー」
「俺のこと好きなくせによく言うよ」
「自意識過剰だよ」

空いてる手でミノルの腕をパンチする。
それもあたしをからかうように「痛いー」なんて言うけど、そんなことで笑い合える関係は好きだな、と思えた。




END.