空き教室の真ん中で

(うわっ、うわうわ)



目の先にいる男の子は私に気づく様子すらなく
目の前の本に集中している。



あまりにもの素敵さに思わず口に手を当てる。

と、


バサバサバサ


持っていたプリントが床に落ちて盛大な音を立てた。


(うひゃ!?)


勿論、こんな盛大な音をたてたんだ。反応しないわけも無く、目の先の男の子とバッチリ目が合った。


バクバクと鼓動が激しくなる。
顔が赤くなる。


「あ、あの...えっ、と...」


手が汗で滲む。

俯きがちの顔を少し上げれば、男の子はゆっくりと口を開けた。