お返しとばかり、ぎゅうっと抱き締めると、小篠さんはがりがりと頭を掻いた。
汗の匂い。小篠さんのいい匂い。
ずっとこうしていたい。

「気持ちいい……」

「俺、何にもしてないぞ」

「してくれたら、もっと気持ちよくなる?」

「しねえよ。俺まで見境なくなったら、どうしようもねえだろ。あと5秒したら帰るからな」

立ったまま抱き合って、足の爪先に力を入れた。
キスをせがむようにして、鍛えられた首に手を回す。

唇が間近に迫り、あと少しで触れる。

「そんなにしてほしいんだ」

「うん……」

明らかに困らせているけれど、止まらない。

「…じゃあ、目閉じて。開いてたらできない」

困惑した様子で小篠さんが指示を出す。
頷いて素直に目を閉じたら、この前よりも少し大人向けのキスをくれた。