「乾いたら帰ろうか。もう日も暮れてるし…」

「うん。もう誰もいないね」

遊んでいた子供たちもみんなおうちに帰ってしまったようだ。晩御飯の時間だろうか。どこからかカレーの匂いがする。
たなびく雲の隙間には、茜色の陽が残っている。

今度は、何も企みなく、左の白いハイソックスも脱ぎすてた。ブランコに座って、裸足で漕ぎ始めたら、柵に腰掛けていた小篠さんが振り向く。

「めっちゃ気持ちいいよ、ブランコ」

「よし。じゃあ俺も。つーか、ちっせー!こんなんだったか」

大きな体で、小篠さんがブランコの鎖を掴む。
「ケツ入んねぇ」と笑う小篠さんは、どんな子供だったのだろう。

「勢いすげーな、一回転するんじゃない」

「するわけないよ~。でも止めてー。裸足だから地面に足つけないし」

「加減しろよ」

私の手の上から、小篠さんが鎖をつかむ。