……

……



「おはよ」





あれ?


いつの間にか見覚えのある道に車が止まっていた



「私…」



「爆睡!」



「あああ!!!ごめんなさい!!!」



やばい
いつの間にか寝てたんだ


てか、蓮くんは!?



「!?」


後ろを振り向くと蓮くんはもういなくて



「蓮は降ろしてきたよ東京で」




「お礼、最後にちゃんと言えなかった」




「また会えるよ」




「…当たり前じゃないもん」


私にとっては
今日だって夢みたいな
特別な日


当たり前にしたくないよ






「ふふっ、そうだな、あの一ノ瀬隼人がここにいるんだもんなあ!」




隼人くんは
バカにした顔で私の頭をポンポンしながら言ってきた





「送ってくれてありがとう」



私がそう言うと
隼人くんが運転席から抱きついてきた





「どうしたんですか?」




「俺だって、当たり前じゃないよ」




「え?」




「この時間もこれからもずっと一緒に居れること、大切にしたい」




「…うん」




「でも、もう俺のこと"SEASOUNDSの一ノ瀬隼人"って見ないでよ」



私を抱きしめる隼人くんの腕が
少しだけきつくなるのがわかった



そっか



私、いつまでも
SEASOUNDSの一ノ瀬隼人
って見てたのかな



1人の人として見ていく自分のこと
嫌だと思ってたのは

SEASOUNDSの一ノ瀬隼人
って目で隼人くんを見てたからだよね



でも


彼氏なんだもん




一ノ瀬隼人は

私の彼氏。