でも、現実は違ったんだね。



あたしの気持ちと勇太の気持ちはもう同じではなかった。



「えっ。今、何て言ったの?」



あたしはわざと笑顔を作って、勇太の前にいた。



勇太は少し考えてから、



小さくひとつ深呼吸した。



そして、はっきりと言ったんだ。



「別れよう、俺達。もう無理だよ。無理がある」



突然の言葉。



別れの言葉。



だけど心のどこかでは分かってた言葉。



「嘘……だよね? 本気じゃないよね?」



認めたくない現実。



受け止められない勇太の言葉。



声が震えて上手く出せない。



勇太はまともにこっちを見てはくれない。



「カノン。俺が悪いから。全部、全部俺が悪い」



勇太はその言葉を残してあたしに背を向ける。



「ちょっと待って!! 行かないで!! ゆうたぁ~~っ」



あたしは去って行く勇太の後ろ姿を見ながら叫んだ。