「今日、ユウリさんに会ってさ、今でもやっぱりユウリさんのことが好きなのかもしれないって思っちまってさ。俺、分からないんだ。カノンと付き合ったのも、心のどこかで最初はユウリさんに近づく口実になるなって思ってたんだと思う。だけどさ、今は……なんて言うかさ、今の俺には……大事なんだよ。カノン、お前のこと、お前の存在が大事に思えてる。中途半端でごめんな」



あたしが大事?



勝手なこと言ってる勇太。



最悪なことを言われてるのに。



それでも『大事』。



あたしが……大事?



『大事』って言葉に、あたしは勇太を許してしまうんだ。



それは勇太を失いたくないから。



ただそれだけ。



勇太の隣。あたしの居場所。



そばにいられなくなるんて、居場所を失うなんて。



それだけが怖くて、必死な女。



そんなあたしの惨めな涙。惨めな想い。



それでもいい。



それがあたし。今のあたし。



「それでも勇太が好きだよ?一緒にいたい。彼女でいたいの。別れたくない」



それしかあたしには答えがないから。