『カノンの家に行きたい』



そんな勇太の突然の言葉が嬉しくて……。



『うんっ』



そう頷いたのに、



家に着いて最初に勇太が口にした言葉は、



「今って、家にユウリさんいる?」だったんだ。



ズキズキと痛むこの想い。



ねぇ、勇太。



あたし、こんなにも辛いんだよ。



胸の奥がこんなにも痛いよ。



こんなに苦しくなるのなら、



もう勇太へのこの想いをすべて投げ出してしまいたい。



なのに、あたしは勇太の前では、



何も気づかないふりして笑うんだ。



勇太の前ではいつも笑顔のあたし。



勇太が笑顔が好きって言ってくれたから。



頑張って、頑張って、無理してでもあたしは笑顔で言った。



「うん。お姉ちゃん、いると思うよ」