それからも、私と神月くんはシフトが重なっている日が多かった。

同じ時間に上がる日には、「送らせてください」といって私の家まで一緒に帰って、たわいない話をたくさんした。
結局、仕事の相談をされたことなんて一度もない。


神月くんの仕事ぶりは、とても素晴らしいものだった。
接客の経験があるだけあって笑顔も話し方も丁寧で、何より仕事を覚えるのが早かった。

コンビニのバイトは単純なようでいて、意外と覚えることはたくさんある。
便利な世の中になったぶん、宅急便や郵便、お中元とお歳暮の予約、書籍の取り寄せ、コンサートのチケットの発行など、コンビニはある意味何でも屋のようになっているのだ。
神月くんは一度教えたことは完璧にこなしたし、真面目だった。

だから、だ。
だからこそ、神月くんがたまに見せる何を考えているのかわからない眼差しや、言いたいことがありそうなのに何も言わないそわそわした態度が、気になって気になって仕方がない。

もしかして私の何かが気に入らないのだろうか、と思ってしまったほどだ。

だけど相変わらず女扱いしてくれるし、いくら大丈夫だと言っても家まで送ってくれることを考えると、嫌われてはいないんだろうなとも思う。


一緒に働き始めてもうすぐ1ヶ月経つけれど、彼がいつも何を考えているのか、逆に何も考えていないのか、私はさっぱりわからないままだった。