「なんだ、君は。私は、客だぞ!」 しかし、レイはひるまずに言った。 「お引き取り下さい。でないと、警察を呼びます。」 その言葉に怖じ気づいたのか、客は捨て台詞を残して去っていった。 嫌な空気だけが、店内に残った。 「大丈夫か?」 レイは、真っ先に私を、気づかってくれた。 「うん。大丈夫。ありがとう。……怖かった。」 私は、言った。脚がまだ、震えていた。