イケメン王子は女の子


次の日、俺はいつも通り登校し
貴也と渡り廊下で別れ教室に入る。

すると、優が俺の机に
突っ伏しているのが見えた。

「よっ優。おはよ。
今日は早いんだな?」

「淳…どうしよう…」

ムクッと起き上がった優の顔は
泣きそうになっていた。

何かあったのか…
まさか貴也か?
いや、あいつに限って優を
泣かせるようなことはしないはず…

そう思い、涙ぐむ優の頭を
ポンポンと撫で問いかける。

「どした??
何があったんだ?」

「女の子…」

「お、女の子?」

「女の子に告白されたぁ!」

「は………?」

「どうしよう、こんなの初めてだよ!!」


う、うおぉぉぉお!!
校内一美女こえー!!!
つーか気持ち分かり過ぎて怖いわ…!!

「ま、まぁ、そりゃ災難だったな。
で、振ったのか?」

「フルに決まってるじゃない!!
でも、泣かれちゃったの~…!!」

俺の袖を掴み俯く優。
すると貴也が教室の入り口で
突っ立っているのが分かった。

どこから聞いてたか知らないが、
何か嫌な予感がする…。

貴也はズカズカと俺らの前に来て

「優、お前、告られたのか!?
誰に!?
かっこいいのか!?
オッケーしたのか!?」

ったく、嫌な予感的中!!

「落ち着け貴也。
ちゃんと話聞いてたのか?」

「だ、だってよぉ!!」

「女の子よ…グズッ1年生のね。
何焦ってるのよ…??」

「へっ…?お、女?」


まったく、貴也の耳は都合が
良いのか悪いのか…。


「貴也、ちょっと屋上来い。」


俺は貴也を屋上へ連れ出した。


「お前、何取り乱してんだ。
お前の声がでかいせいで早弁してた男子が
ビックリして卵焼き落としちまった
じゃねーか!!」

「気にするとこそこかよ!!!
つーかこんな時間に早弁とか
早すぎるだろうが!!!」

「ったく、このアホ。」

「だって、誰かに取られるって
思ったら、つい…」

「気持ちは分かるが焦るな。
今日の昼、女子は俺が抑えておくから
お前は優をここに連れて来い。
あとはお前がちゃんとやるんだぞ。」

「あぁ、分かった。
ありがとな、淳。」

「ラーメン奢りな。」

「オッサンかよ!!」