「あんたなんか産まなきゃよかった。」
何回も言われ続けてる言葉だけど慣れない。
「苺花(いちか)なんて名前、お前みたいな地味女に似合わねぇよ。」
これも言われ続けてる言葉だけど慣れない。
家に帰っても学校に行っても悪口を言われ1日が終わる。
私は何のために生まれたのだろう?
学校が終わると行く場所もないし家に帰るしかない。
ドアを開けるのが怖くて手が震えてしまう。
今日はなんて言われるのだろう。
「おかえり」かな?「おつかれ。今日は何が食べたい?」とかかな?
...どちらも不正解かな。
「...ただいま。」
予想通り家からの返事はない。
ドシドシと怒っているのが分かる強い足音が聞こえた。
「あんたどういうこと?あんたのせいで私があの人に怒られるのよ!?」
「...ごめんなさい。」
今回は何で怒られたんだろう。
私のお父さんは私が生まれる少し前に交通事故で亡くなってしまったそうだ。
お母さんが再婚したのはつい最近。
再婚した人...健(たける)さんは少しでも気に入らないと暴力を振るってくる。
どうやら今日は洗濯物を洗っていないから、だそうで。
そんな事言われたって、朝ごはんの準備や掃除も全部私にやらせてるくせに。
自分は何もしないの?
「何がごめんなさいよ!あんたなんか生まれてこなきゃよかったのに、もう良い顔も見たくない。出てってよ!」
あぁ、また言われちゃったな。
こう言われたら少しの間出ていかないといけない。
ドアを開けてみるとポツポツと雨が降っていた。
洗濯物干してたら雨に濡れちゃってたな。