地味

ブス

勉強出来ない

運動出来ない

気持ち悪い

小汚い

それが私、峰山風香(みねやま ふうか)の人から見た印象なんだろう、と思う。

だって、決して綺麗とは言えない髪の毛でボサボサ。

勉強も運動も出来るとは到底言えないレベル。

長い前髪で、周りからはほとんど見えない謎の顔。

前髪の隙間から微妙に除くガサガサの唇。

みんなが制服を可愛く着崩している中、膝下丈の地味スカートに上は校則通りに着ている。

どこをどう見てもいい所なんて一つもない私は、
当然のごとくいじめという類に入るだろう扱いを受けている。
今は五月の中旬。高校1年生の私の周りの人達は大分学校生活に慣れてきた、という感じだろう。
まあ、一方の私は学校生活になれるはずも無く__
ボフッ
「……。」
いつどこからとも分からない嫌がらせに構える(?)しかなかった。
黒板消しを扉に仕掛けるって……なんて古典的な事を……
古典的な嫌がらせに呆れる私をよそに
「見てあれ~」
「真っ白wwうけるww」
「きったねーな」
色々な暴言を吐くクラスメイト。
……正直、そんな事をいう意味を問いたい。
言ってなんの意味があるんだろう……。
頭の白い粉をある程度払ってから、窓際の自分の席に向かう。いつも通り、色々な暴言が書かれた机の横にカバンを掛け椅子に座る。
正直に言うと、机に落書きをされたところで困る事はほとんど無い。だって、落書きされたところで授業は普通に受けられるし……普通に寝れるし……。
そんな事を肘をつきながら思っていたら
「おはよ風香!」
なんて挨拶をしてくれる子が来た。
「……おはよう、瑠美(るみ)」
可愛く笑いながら前の席に座る彼女、山居(やまい)瑠美は幼稚園からの幼なじみ。唯一学校で私と話してくれる子。
サラサラな茶色のショートの髪に、大きな可愛らしい目。細すぎない体。誰が見ても美少女と言える容姿をしている。当然の如くモテるのだけれど……本人は全くの無自覚。で、姐御肌な性格、という強者だ。
「……ほんとに恐れ多いよ……」
「ん?何が?」
ぼそっと言った事が完璧に聞き取られていたらしく、ん?と首を傾げて聞いてくる。地獄耳……
「ううん、なんでもないよ。」
ちょっとだけ微笑んで言った。微笑んだとしても口しかほとんど見えないけど。
「そう?……にしても、まだ粉払えてないよ!適当なんだよ風香は!」
そう言いながら私の頭を払ってくれる。
「そんなに付いてた?ありがとう瑠美」
「ほんとよもう!」
みんなからの視線は絶対に痛いはずなのに、それでも私と話してくれる瑠美は本当に優しい。
やっぱり、本当の友達だなって改めて思った。