そのとき、スタンドに一台の車が入ってきた。


よしっ!



ここはセルフなので、ガソリンは客が自分で入れる。


入れおわったら会計は、レジのある備え付けのピットで行う。


ガソリンを入れている最中が、あたしのチャンス。



ガソリンを入れている客に近づき、話し掛ける。


「いらっしゃいませ、あのー、こういうガソリンの値段が安くなるカードがあるのはご存知ですか?」

「え、知らない」


よし!いけるかも?


その後も長々とこのカードの長所を説明。


このおじさんは、古いタイプの高級車に乗っていた。
高級車のガソリンはハイオクが多い。このおじさんもハイオクを入れていた。


ハイオクはレギュラーより高いから、契約を結べる確率が高い。



「うん、いいよ、それちょうだい」


やった!一件獲得!

なかなか断られてしまうことの多いこの仕事、こうしてすんなり契約してくれる人はありがたい。


ピットへ案内し、会計をすませてもらってから必要事項をあらかじめ用意された紙に書いてもらう。


ピットの中は、クーラーがきいてて涼しいっ!


ずっと外にいたから、天国みたいに思える…


ずっとここにいたいけど。