しずかに扉をこえる。





白い病室、白いベッド。




しずかに横たわる僕の父親。


こんなに静かな人だったろうか?
こんなに歯がなかっただろうか?
こんなに肌は白かっただろうか?
こんなに…死んだように眠っただろうか?




「お薬で眠ってるの。
あなたは二年ぶりね」




突然の再会。



僕はもう何も知らなかった幼子ではない。





父は病気だ。








精神の。