つながり

亮次さんが言うには、あの店長は裏では『こぶたくん』と呼ばれているそう。

裏というのは、あの店のバイトさんや別店舗の社員さんだそう。

「でも、こぶたにしては大きくないすか?」

あたしも一緒になって、気付いたらかなり失礼なことばかり言ってしまっていた。

「んーとね、○店の店長がいてね、あいつはこぶたくんより太いからおやぶたくんって呼ばれてんの。だからうちの店長はこぶた」

どうやら親分がいるらしい。


そんなこんなで、裏話で盛り上がっていたら気付けば○○市の市内に入っていた。


「うーん、あんまこっちの方来たことないから道よくわかんないんだけど、こっちでいいの?」

一瞬、えっ?とか思ったけど、たしかに駅にむかっていた。


「あ、あってます。あのビル目当てにして行ってください」


あんまり楽しくて、ずっとずっと亮次さんの話を聞いていたかったけれど…




そのまま、駅に着いてしまった。

送迎ゾーンに入り、大きな音を立てる目立つ車は停車した。

「あの、ここまでほんとに有難うございました。明日もよろしくお願いします」
「うん、こちらこそ。気を付けてね!じゃ」

そう言って、また亮次さんの車は低い音を立てて走りだした。

あっさりとした分かれ。