1766年・イギリス──
良く晴れた秋の空。
森の木々は紅や黄色に色を染めて、
行く道脇には秋の花々が静かに座っている。
吹く微風が頬を撫でた。
そんな清々しい気候とは相反して私の心は沈んでいる。
散歩の途中にこの森に迷い込んでしまったのだ。
「19にもなって迷子だなんて……」
笑えない……。と、私は続けた。
この森に入ったのはこの時が初めて。
土地勘の無い私が日暮れまでに、この森を抜けられる可能性は限りなく低い。
それでも、
「悩んでいても仕方が無い!進もう!」
その一択しか残されていなかった。
ここに、このまま居ても進んでも、出られる可能性が低いのなら、少しでも可能性が高い方にかけるしかない。
私は、一人そう言い森をさらに進んでいく。
──出口とは真逆とは露知らず。