一人暮らしにしては広すぎるリビングにある、向かい合わせのソファーに、二人は座った。

座った途端、一翔の口から次々と質問がでてくる。



「あんたは、俺の父親とどういう関係なんだ?どうして手紙をあんたが持ってる?それに…」



「あーっ、もうっ!!ちょっと落ち着きなさいよ。一度に聞かれたって分からないわ。ちゃんと説明するから」


頭に浮かんだ質問を全て口にしようとした一翔を、春子は遮った。


「まずは、これを読みなさい」


そう言って渡されたのは、さっきの封筒。


のり付けされたそれの端を切り、中に入っている白い紙を取り出して読み始める。





『一翔へ

お前がこの手紙を読んでいるということは、もう私たちはこの世にいないのだろう。

これは、お前が高校を卒業する前に私たちが死んだ時、渡してもらえるように頼んだものだ。

死んだ理由がなんにせよ、お前に苦労をかけることをすまなく思っている。


私たちが死んだ時、おまえが自分の道を歩んでいけるようにするために、二つのことを残した。


一つは、桜ノ宮第一学園高等学校に入学、もしくは転入する資格を与えること。