「祈光院 紫月。今日から3ヶ月間、あなたを黒川 一翔の教育係とします。これは、理事長である私からの命令です。引き受けて頂けますね?」
「教育係!?」
春子の言葉を聞いて、素っ頓狂な声をあげたのは一翔だ。
それもそのはず、本人である一翔はなにも聞いていない。
ツッコミどころが多すぎて、なにから言っていいのかわからない一翔に対し、紫月の方は冷静だった。
「理由をお聞かせ願います」.
「簡単なことよ。Aランク以上の生徒の中であなただけが、まだ新人教育をやっていないからです」
(Aランク?新人教育?)
春子の受け答えに、目を見開く紫月とますますなんのことだかさっぱり分からない一翔。
「私はっ!!… 一年の10月に3度行いました」
「…その3回とも新人に泣いて逃げられたじゃない。あれではやった事にはならないわよ」
(3回とも…泣いて逃げられるだと!?どんな事をしたんだよ…コイツ)
もはや、雲行きが怪しいどころの話ではない。

