凛とした声が扉の向こうから聞こえてきた。
ゆっくりと開く扉。
そこにいたのは、
「祈光院…紫月……!?」
キリッとした綺麗な顔の…紫月本人がそこに立っていた。
一翔は驚きと困惑で、紫月をじっと見つめたままだったが、紫月が明らかに嫌な顔をしているのに気づき、慌てて目をそらす。
「あら、知ってるの?」
「あ、いや…」
「いえ。初対面ですが」
なんといえばいいのか迷っていた一翔だが、バッサリと紫月に言われてしまった。
「…なるほどね。綺麗だものね、紫月は」
そして、春子に何かを悟られた一翔は、返す言葉もなく黙るしかなかった。
「それで、私が呼ばれた理由はなんでしょうか?理事長」
話が大きくそれる前に、紫月が本題に戻す。
「あぁ、そうだったわね」
春子はソファーから立ち上がり、理事長席へ席を移す。
紫月は理事長席の前で手を後ろに組み、仁王立ちのような体勢をとる。

