春子の視線は一翔から隣にいる隆之介へと移る。
「君は確か…矢代 隆之介くんね?あなたは自分がどこのクラスか知ってる?」
「あっ、はい!!Bクラスです」
「そう。ここに転入することだけでもすごいのに、すぐにBクラスまで行けるなんて光栄なことよ。頑張りなさい」
さっきまでの調子とは違い、理事長らしい言葉をかける春子。
それに対して、隆之介は目を輝かせながら大きく返事をした。
「はいっ!!」
「さぁ、もうすぐHRが始まるわ。Bクラスは本校舎の三階よ。行きなさい」
「はい!!」
理事長に褒められたのがそんなに嬉しいことだったのか、隆之介は素直に春子の指示に従った。
…一翔を取り残しているのをすっかり忘れて。
「えっ、春子さん、俺は!?」
「あぁ、ごめんなさいね。いっちゃんはちょっとした手違いがあって…とりあえず一緒にきてくれる?」
「あ、あぁ…」

