死神の涙



(もう一人?)


「僕は矢代 隆之介(やしろ りゅうのすけ)。君と同じでこの四月から第一学園高校に転入してきたんだ!よろしくね!!」


もう一人というワードに引っかかったが、転入生は自分とこの隆之介の二人だけしかいない、と解釈をしてスルーした。


「黒川 一翔だ。よろしくな」


「いちか、か。珍しい名前だね」


「まぁな。漢字で書けば読み間違えられるし、ひらがなで書けば性別を間違えられる。もう慣れたけど」


「あっ、ごめん!!そういうつもりで言ったわけじゃないんだけど」


「いいって。悪意が無かったのは分かってるし」



小学生の頃から同級生に女みたいだとバカにされ、中学では先生に必ず“かずと”などと読み間違えられてきた。


そのため隆之介の反応は一翔にとってはいたって普通のもので、今更怒るものでもなかった。


隆之介の方も、一翔が特に気にしていないのが分かり少しホッとしているようだった。


「あっ、あれだよ!!あの建物が講堂だ」


隆之介がもう目前にある大きな建物を指差して言う。


生徒数は一般的な私立と比べると、この学校は少ない方だ。


しかし、人数が少ない割にこの講堂はどう考えても大きすぎるだろう。



「やっぱ…でけぇな」


(金持ちって、これが当たり前なのか?)


ここに通っていたら、絶対に金銭感覚が麻痺すると一翔は強く感じた。