「これか…」
「見つかったー?」
さっきの重々しかった声とは一変、訪問してきた時のような軽い声で、ドアの前から声をかける春子。
「あぁ」
最初の怪しい(というか、怪しさと失礼しかなかった)印象から、今ではある程度信頼してもいい人だと、そう春子を思えるようになったのは、春子の悔しそうな表情を見たからなのか。
いずれにせよ、一翔の中でこの人は敵ではないと判断していた。
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「ここね」
家の一番奥にひっそりと存在する地下への階段を降りると、大きな木製の扉が現れる。
もちろん鍵はかかっていて、扉の鍵穴も鍵と同じくらい錆びていた。
雰囲気からもみて、この鍵で間違いないだろう。
一翔は鍵をゆっくりと差し込み、90度時計回りにまわした。
ガチャッ…ギィィーーーー
「なんだよ…これ…」
重めの扉を開けて中に入った一翔は、その場で固まった。
「ワインセラーじゃ、なかったのかよ…!?」
「…………。」
そこには、一翔が想像していた光景よりもはるかに遠いものだった。
壁は地下室らしく石でできており、雰囲気は洞窟に近い。
広さはこの家の中で一番広いリビングの2倍ほどある。
でも一翔が一番驚いたのは、そこに保管されている“もの”だった。
確かに、入り口付近にワインは何本かあった。
しかしそれは一翔が想像していたような、地下室全てがワインセラーなのではなく、ワインが数本はいるようなケースが置いてあるだけだ。

