死神の涙




「これか…」




「見つかったー?」


さっきの重々しかった声とは一変、訪問してきた時のような軽い声で、ドアの前から声をかける春子。


「あぁ」



最初の怪しい(というか、怪しさと失礼しかなかった)印象から、今ではある程度信頼してもいい人だと、そう春子を思えるようになったのは、春子の悔しそうな表情を見たからなのか。



いずれにせよ、一翔の中でこの人は敵ではないと判断していた。






*****






「ここね」



家の一番奥にひっそりと存在する地下への階段を降りると、大きな木製の扉が現れる。



もちろん鍵はかかっていて、扉の鍵穴も鍵と同じくらい錆びていた。



雰囲気からもみて、この鍵で間違いないだろう。


一翔は鍵をゆっくりと差し込み、90度時計回りにまわした。




ガチャッ…ギィィーーーー





「なんだよ…これ…」




重めの扉を開けて中に入った一翔は、その場で固まった。



「ワインセラーじゃ、なかったのかよ…!?」


「…………。」




そこには、一翔が想像していた光景よりもはるかに遠いものだった。



壁は地下室らしく石でできており、雰囲気は洞窟に近い。



広さはこの家の中で一番広いリビングの2倍ほどある。


でも一翔が一番驚いたのは、そこに保管されている“もの”だった。


確かに、入り口付近にワインは何本かあった。


しかしそれは一翔が想像していたような、地下室全てがワインセラーなのではなく、ワインが数本はいるようなケースが置いてあるだけだ。