死神の涙



一翔が手紙を読み終わり、顔を上げたのを見て春子は口を開く。


「私と貴方のご両親とは、高校の同級生だったの。まぁ、美織ちゃんたちが結婚した後は音信不通になってしまったんだけどね。2年前に、急に二人で私のところを訪ねてきたのよ。“私たちにもしものことがあったら、この手紙を息子に渡してくれ”ってね」


一翔の脳裏に、今は亡き両親の顔が浮かぶ。


事故だった。

その日の天候は雨。


職場に向かっていた両親の車に、雨でスリップしたトラックが突っ込んだと聞いた。


二人は即死だったらしい。


トラックの運転手も、未だ昏睡状態のまま。


怒りも憎しみもどこにもぶつけることができず、しばらくしてその感情は悲しみと孤独感に変わった。


誰も恨むことができなかった。



でも……



「その言い方…まるで自分たちの死を予知してたみたいだ。不運な事故だったのに」


病気だったら遺言書や手紙を書くのは理解できる。


でも、事故が起こるタイミングなんて、誰も知りようがないだろう。


(じゃあ何で手紙なんて書いたんだよ…?)


「…あなたの両親の死因は、事故ではないわ」


「え……?」



「殺されたのよ」