伊藤部長の言葉が頭の中を駆け巡るが、正直半分位しか伝わってこない。

えっと、昨日のあの女は、会社辞めたって事か?
でもって、二度と俺の前には現れないと?

「西塔くん、大丈夫か?」

新田課長が心配そうに見ている。

「はあ。
、、、妊娠?ストーカー?あれ?

俺、無実っすよね?
子供いないっすよね?」

「ああ。大丈夫だ。
全部、彼女の作り話だよ。
君は何もしてない。
子供なんていないよ。」

力強い伊藤部長の言葉を聞いて、一気に力が抜け、俺はしゃがみこんでしまう。

「はあ~!良かった。
何がなんだか分からないけど、助かったんですね、俺。

びびった~!

部長、課長、有り難うございます。

本当、助かりました!!」

「西塔、ほら、立てよ。
お前は体は大きいけど、まだまだガキだな。」

新田課長に笑われてしまった。

「新田課長、君だって大切なものを守る時は、見境がない子供みたいになるだろう?
西塔くんはまだ、社会人成り立てなんだから。」

「伊藤部長には敵わないなあ。」

何だか俺には分からない会話をしていたが、安心した俺は、新田課長に促され仕事に戻って行った。





取りあえず、この件は終わった。