「…夕陽、今なんて?」

「…だから、信夫さん、今年で58歳なんです。奥さんは、まだ40歳で、娘さんは私と同い年らしいですよ。だから、尚更心配性で私たち寮生の相談にのってるみたいで。信夫さん、見た目がかなり若く見られるので、何かと勘違いされるみたいなんですけど、いい『お父さん』なんです。だから、圭吾さんが思うようなことは、絶対ありません。

私は、圭吾さん、一筋です!

…わかってくれますか?」


…圭吾は思わず、大きなため息をつくと、夕陽をぎゅっと抱きしめた。

「…圭吾、さん?」
「…そう、俺のただの取り越し苦労だったんだね」

圭吾の言葉に、夕陽はクスッと笑う。

「…そう言うことになりますね。でも」

夕陽は圭吾の手をほどくと、今度は夕陽が圭吾の顔を両手で、包み込んだ。

「…ヤキモチは嬉しかったです。なんて」

そう言うと、夕陽は背伸びして、圭吾に触れるだけのキスをした。

「…夕陽」

「…見せつけるな、お二人さん」

「「…え、あ!」」

仕事から帰って来た学が、頬を染めている。

それより更に顔を真っ赤にしたのは夕陽。

圭吾は夕陽を抱き寄せて、学に見せつける。

「…羨ましいですか、父さん?」
「…羨ましいに決まってるだろ?パパも混ぜなさい」

二人の男に抱きしめられ、夕陽はアタフタする。

でも、ちゃんと愛されてるんだと思うと、嬉しくなって自然と笑顔になっていた。

学が、朝陽の旦那さんになってくれて、自分のお父さんになってくれて、本当に良かったと思わずにいられなかった。